課せられた刺激に対する特異的適応は、特異性、漸進性、および過負荷の原則を基にした
すべてのS&Cプログラムの根拠となっている概念です。
この文章をざっくり解説しますと。
身体は課せられた刺激に対して適応しようとします。
例えば、バランス力が悪い選手が、バランス力を向上させるトレーニングををすれば
バランス力が向上されます。
といったように、すべてのS&Cプログラムは、目的に沿った内容を実施することで
目的通りの成果を得ることができます。というのが根拠となっている概念です。
従来のオフシーズン期およびプレシーズン期のS&Cプログラムを通じて、
パフォーマンスをピークレベルに到達させるためには、単に量や過負荷を増大させるだけでは不十分です。
S&Cプログラムにとって重要な要素は、
年齢、経験レベル、姿勢、歩行、習熟度、認知能力、および性別などです。
S&C専門職とスキルコーチが協力し、グラウンドで行う漸進的な競技力向上プログラムを
作成する方法を議論することも可能であるが、
本稿では、ボールやグラブ、バットを用いずに行うオフシーズン期とプレシーズン期の
競技力向上を中心に論を進めて行きます。
S&Cプログラムにおいて、選手の特性は全部で5つのスキルに分類されます。
①バランス
②アジリティ
③筋力
④爆発力
⑤スピード
人間の運動や筋力は、基本的な神経学的プロセスに沿って習得され、
また向上します。①〜⑤は、競技スキル習得の基本的順序を示したものです。
オフシーズン期とプレシーズン期のS&Cプログラム全体を通して、
あらゆるエクササイズをより戦略的に構成、適応するための参考となります。
5つのスキルはそれぞれ、以下に挙げる3種類のトレーニング分野に分けられます。
ステップ①:バランス=静的または等尺性の筋収縮を通じて達成されます。静的な関節の安定性。
ステップ②:アジリティ=動作発生時おける刺激と筋収縮間の情報伝達パターンの改善を通じて達成されます。関節可動域。減速。
ステップ③:筋力=多関節および単関節エクササイズを用いた外的抵抗の負荷を通じて達成されます。
ステップ④:爆発力=バランス、アジリティ、および筋力を組み合わせ、直線的および多平面的に適応することで達成されます。力強い力の発揮、加速。
ステップ⑤:スピード=バランス、アジリティ、筋力、および爆発力を組み合わせ、最大限の速度で適応することで達成されます。素早い力への抵抗、素早い力発揮、または、高速での減速、加速。
人間発達に基づく単純な神経学的順序に沿って考えた場合、最初に獲得するべきスキルはバランスであり、次がアジリティです。その次に、外的抵抗を用いての筋力向上が求められます。
そして、この3つの組み合わせが力となって、続く爆発力とスピードの向上が達成されます。
忘れてはならないのは、これら5つのスキルは、グラウンドではすべて同時に発揮されるということです。そのため、各スキルを適切な形で選手のS&Cプログラムに組み込むことが、
傷害予防とパワー発揮の手法を統合する上で非常に重要になります。
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